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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

アニムスとアニマ

生まれて初めて、マニュキアを塗ってみた。

いや、その、別にそちらの趣味があるという訳でもないのだが、仕方がなかったのである。パッケージデザインの依頼を受けたので、当社AP(アカウントプランナー)と一緒にドラッグストアへリサーチ行った。APが、いろいろ「今の化粧品はどうたらこうたらで、女の子達はしかじか、かくがく、こういう消費行動をするのです」みたいなことを言っているのを上の空で聞いていたところ、何色も並んでいるマニュキアのボトルに目を奪われてしまったのである。


気がついたら、APにおねだりして、マニュキアの1本を買ってもらっていた。会社に戻ってから、女子スタッフが集まり、彼女達は、楽しそうに僕の人差し指にマニュキアを塗った。なんときれいなんだ!これが病み付きになり、絵を描いてみたくなった。でも、性格上、テーマを決めて、きっちりとやってしまうので、そんな自分にじれったく、手当たり次第にペインティングした。


使い慣れている、ラフスケッチ用のサインペン、携帯電話、ファイロファックスの手帳、クリップ、ホチキスなどなど....あちらこちらに密かに塗って、心の中で、「ほら、どう?」って、気がついてほしいのさ!手帳のボタンのところをさりげなく、塗ってあるのに誰も気がつかない。これ見よがしに、打ち合わせ中に手帳を開けたり閉じたりしてみる。



これが、女性の心理というものなのですね。気付いてほしい時に気付かない男を「鈍い!」と拗ねてしまう、この乙女心。ホント、ちっちゃなことに気付いてほしいんだよね。みんな鈍いよね。コンシューマーインサイトがよく分かりました。


どんな人の中にも男性素質(アニムス)と女性素質(アニマ)があるという。 この歳になって、僕のアニマが芽生えたのであろうか?それともきれいなものをきれいと素直に言えるようになったのだろうか?


ああ、僕のダディズムが音を立てて崩れていく...

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美しく、輝く、輪を求めて。

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