渋谷区神宮前の事務所へ移転してから、8年が経った。
10年前の2011年3月11日は、あの怖しい震災があった後にここへ移転した。
僕は、グラフィックデザインの仕事を20歳代、30歳代、40歳代と続けてきたけど、働き詰めの毎日で、その30年の一つ一つの記憶がない。ないと言えば、嘘になるが、一瞬の出来事のように時代を駆け抜けてきたような感覚である。
グラフィックデザインの仕事をやっていた時は、閉鎖的な世界で仕事をしていた。これからは、もっと仕事のジャンルを広げたいと思い、アートギャラリーを立ち上げた。それも、既存のギャラリーとは違う、新しいことをやりたかった。思えば、いろいろな人と出会い、いろいろなことにチャレンジしてみたけど、新しいことにチャレンジするということは、なかなかうまくいかないものである。
この場所へ移転してから、8年が経って、コロナ禍になり、人との出会いがなくなったことでよかったこともある。せっかちに、いろいろなことにチャレンジするよりも、もっと本質的なことに集中しなければならないということである。
人付き合いの良さが、必ずしも人脈が広がるということでもない。むしろ、断る勇気が必要なのである。今までは、多くの人と会うことが、何か新しいことが起きるのでないかと錯覚していた。結局、何も起きなかった。それよりも、自分で勉強する時間を確保して、自ら発信していくことが大切だ。
ちょっと、軽く考えるだけでは、真実は見えないのである。考えて、考えて、考えて、さらに考えるくらい、一つのテーマを深く掘り下げて自分のものにしなければならない。それが、エッセンシャル思考。
それにしても、オフィスの外観は、8年前と全く変わらないなあ。
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