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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

ロータスの伝説

埼玉県行田市にある古代蓮の里へ行った。



蓮といえば、僕がグラフィックデザイナーを目指すきっかけとなった一つである。当時、70年代前半、北海道のど田舎で青春期を過ごした僕は、ロックギタリストになることを夢見ていた。たまたま、親友の一人にレコード屋の息子がいて、学校帰り必ずそこへ立ち寄り、レコードを視聴させてもらった。もちろん、お小遣いが入るとすぐにそこでレコードを買ったので、常連になっていた。おばさんは、自分の息子の親友でもあり、僕に閉店後に「もっと、聴いていてもいいよ」とコーヒーまで、出してくれた。


しまいには、「聴きたいものがあれば、持って行ってもいいよ」と全く商売気がない。僕は、お言葉に甘えて何枚も借りたものだ。当時は、30cmLPレコードで、ジャケットデザインが迫力満点だった。自宅には、いつしか100枚以上のレコードコレクションになり、どんどん増えていった。


そんな恵まれた環境で、サンタナの「ロータスの伝説」という22面体のアルバムがあり、当時6,000円位だったと思う。高校一年生の6,000円は、あまりにも高価なのと、それを買うならもっと欲しいレコードがあったので、借りることにした。


こんなレコードジャケットは、世界中探してもどこにもない。今のCDと違って、30cmLPである。何度も何度もジャケットを眺めてものだ。ところで、これってもしかして、デザインをする人がいるはずだと思って、英語で書かれているクレジットを調べたら、Tadanori Yokooと書かれていた。そう、今でも大活躍している横尾忠則さんだ。その頃は、グラフィックデザイナー業界で世界的にもスーパースターだった。



そんな思いに耽っていると、パッと蓮の花が開花した。実際には、また別の蓮の花だったかもしれないが、僕には目の前で花開いた気がした。なんて、綺麗なんだ!青空とのコントラストが、このピンクをさらに鮮やかに見せてくれる。


蓮の花は、ヒンドゥー教の聖典の中では、聖なる花であり、女陰の象徴でもある。泥水から生まれ、美しい花を咲かせる姿は、どん底の人生の中から、希望を与える象徴にも見える。

蓮の花をこんなに間近でじっくりと観察したのは、初めてかもしれない。これから、何か新しいことが生まれる予感がする。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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