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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

仙人のいる山

週末、スキーへ行った。 早朝4時の東京は、雨。関越道も雨だった。 月夜野で降りて、三国峠のトンネルを超えた頃には、雪に変わった。



いつもの苗場は、濃霧で視界が悪い。リフトに乗っていると、横風が吹雪と一緒に頬を叩き付ける。頂上は、真っ白で何も見えなく、滑走禁止だった。数日前に雨が降ったのか、ゲレンデはアイスバーン。滑っていてもちっとも楽しくない。数本滑った後、プリンスホテルに戻る事にした。


苗場山の中腹を滑りかかった頃、霧の中に山々を見た。まるで水墨画のようだ。そもそも、水墨画は鎌倉時代に中国から日本へ禅とともに伝わったそうだ。もともと、禅の思想を表す絵画だったようだが、徐々に風景画も描かれるようになり、山水画と発展していったようだ。


日本では、室町時代が水墨画の全盛期となる。足利家が禅宗を庇護したこともあり、雪舟をはじめとする、多くの画僧を排出した。だから、水墨画を見ているとなんだか神々しくなるのだろうか?無彩色の世界は、実世界の喧騒からかけ離れた禅の世界だ。


しばし、寒さを忘れてこの無の世界へと没頭していると、精神が統一されてくるようだった。ポジティブ思考の僕は、『こんな悪天候でも収穫があった』と、気分が昂揚した。

こんな静寂した苗場は、バブルの時の賑やかさがウソのようだ。かつての華やかさはなくなったけど、もともと自然の風景は今も昔も変わらない。仙人もやっと静かにもとの生活に戻れることであろう。

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8 Comments


>香明さま

苗場のような、ミーハーなスキー場でも遭難することがあるようです。 自然をなめてかかると、神はお怒りになるようです。 人間なんて、ちっぽけな存在。 図にのっていると、きっと痛い目に合うのでしょうね。 何事も謙虚さが必要なのです。 バベルの塔の話は、そんな人間達に対する警鐘なのです。 なんて、人間は愚かなのでしょう。

投稿者:hide★ :2007年2月23日 01:56

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Nov 22, 2019

どんなに科学が進化しても、便利な世の中になっても、吹雪や台風がくれば、人間はひとたまりもないですよね。大自然のすごさ、怖さを感じます!!今も遠い昔も変わらない景色。。。こんな日は外に何分もいられないだろうから、暖炉のある暖かい部屋の窓越しに、私はずーっと雪景色を見ているような気がします。。。

投稿者:香明 :2007年2月23日 00:42

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>N.Kojimaさま

自分が感じていないとこんな情景に出会っても このようには見えないということですよね。 やはり、心の中の投影なのでしょうか? この静寂が、心の目を研ぎすまされたのかもしれません。

投稿者:hide★ :2007年2月21日 11:24

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Nov 22, 2019

静寂。 自然の中に身を置いて、 それを描く。 しかし、自分の感じたもの、内包したものも 投影しているのかも知れませんよね。

投稿者:N.Kojima :2007年2月21日 10:53

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>inojiさま

若い時は、こんな風には見えなかったですね。 きっと、同じ風景に何度も遭遇しているはずなのですが。 古代日本人が、この自然の猛威を神と崇めたのは、理解できますね。 この風景を目の当たりにしたとき、 思わず「はは〜っ!」と雪面にひれ伏しそうになりました。

投稿者:hide★ :2007年2月20日 13:27

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美しく、輝く、輪を求めて。

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