妖精ミュー伝説

早朝、夢を見た。 出口の見えない森の中で漆黒の愛馬ロメオに乗って、 僕は霧に包まれた森の中を彷徨っていた。


舞台は中世のヨーロッパ。僕は、黒いマントを着た騎士だった。この国をさらに平和にするために、王から言付かった宮廷魔術師メイベリンは、ミントグリーンに発光する妖精ミューを探して連れてくるよう、僕に命じる。


妖精ミューはあまりにも小さいので、後世、ミクロンを表すμという記号になる。(これは、夢の中の話だけど)その位、妖精ミューは小さくて人の目にはつきにくいらしい。噂によると、妖精ミューと出会って心が通じ合った時、ミントグリーンに発光し、周りを至福の輝きで人々を包み込むという。 妖精ミューに出会った人は、その後、輝きのある幸福な人生へと導いてくれる。権威や物欲を超えたところに幸福があると信じていた国王は、妖精ミューを人々に会わせることで、なにか大切なものを国民に気付かせようとした。 僕は、何十年もの月日をかけて、妖精ミューを探し出す旅に出る。旅の途中、多くの妖精と出会い恋に落ちる。その度にいつも妖精を弄び、僕は旅の疲れからか、騎士道を忘れ心が荒んでいった。


30数年が経っただろうか。彷徨える森の中で妖精達が群れをなしていた。その中に一筋の光を見た。それは、あの伝説のミントグリーンに光り輝く妖精ミューだった。僕は、胸の高鳴りを押さえることができなかった。妖精ミューは僕の頭上高くに浮遊し、一向に近づける気配がない。


「どうか、お願いだから、僕の手の平に舞い降りて来てくれないか」と僕は言った。妖精ミューは、人間の周波数に合わせたテレパシーで、「あなたのかっこつけたところが嫌!」と言った。僕は、高価な黒いマントを脱ぎ捨て、愛馬ロメオを森の中に逃がした。その光は、あまりにも眩しくて、妖精ミューの姿をこの目で見ることができなかった。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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