また、首都高速のお台場出口で渋滞。
車が一向に動き出しそうもないので、写真を撮った。
上を見上げると高速道路が、まるでL字型のトリミングスケールのように見えた。撮影現場では、フォトグラファーが写真を撮り、アートディレクターやデザイナーがトリミングスケールを持って、写真をトリミングしながら方向性を詰めていく。
今では、デジタル撮影が主流になり、現場ではモニターでチェックすることが多くなったので、レイアウトデータをパソコンに入れて、モニター上でトリミングをすることが多くなった。
それでも、僕はトリミングスケールを持っていくようにスタッフに指示する。それは、まわりを黒で覆うことができ、雑念を排除することができるからだ。常日頃から、人差し指と親指でL字を作って、構図を決めていくのが癖になっているのだ。(みんなやっていると思うけど)
肉眼で見ていると、いろいろな雑念が目に飛び込んでくるが、こうやってトリミングして覆い隠すとテーマが絞れてきて、新たな発見がある。それが、日常の見慣れた風景の中に美を発見する、ということである。
前回のブログの不忍池も削ぎ落としたから、いろいろな発見があった。肉眼で見ていると、いろいろなものが視界に入ってきて、決して美しい風景とはいえないものでも、どこか異国の地へでも行ったような光景になる。
多くの人と同じものを見ていても感じ方が違えば、画面の切り取り方も違うということだ。渋滞の中、どんよりした曇り空であったが、写真で見ると柔らかく、美しい色あいであった。きっと、写真とは心の投影なのであろう。
>fumipanさま
特に造形的な専門知識がない人に発言権があると最悪です。 その人の意見を聞かないというのではなく、 こちらの専門的な意見を発言する機会がなかったり、 理由も聞いてもらえず、ツルの一声で変更というのが多いです。 トップからの命令ということだけで、 「ちょっとちがうのになあ」と思いつつ、 それを受け入れなけばならないこともあります。 何度も何度もやり直しさせられて、発言している人の顔が見えなくて、 意図が分からなく、何を目指して分からなくなった時、 魂の抜けたロボットのようになりますね。 ポラの時代を懐かしんでもいられないですけどね。
投稿者:hide★ :2007年3月13日 22:44
ヒデさん、こんにちは。
撮影にモニターが持ち込まれる現場では、フォトグラファー、 ディレクター、デザイナーのさまざまな思惑が混在し、 お互いの聖域をおかすような思いにかられることはありませんか? ベストな瞬間を切り取ってもらったはずなのに、 誰かの一言で、何度でもやり直しができてしまう・・・。
あのポラを両手で挟んで暖めるフォトグラファーと、それをめくる瞬間を 心待ちにした頃の撮影現場。 まったりしたあのポラ待ち時間がとても懐かしいこの頃です。
・・・自然光なら、曇り空が一番好きです。
投稿者:fumipan :2007年3月13日 15:16
>香明さま
日常をトリミングするという遊びは、 お金のかかからない、地味な行為です。 でも、片目をつぶって、その空間を覗き込んでいる人は、 きっと、自分の世界に入り込んで楽しくて、しょうがないのでしょうね。
青い空と白い雲、その中にビルを下からそびえ立っているように するのではなく、上からのビルが覗き込んでいるようにするだけでも ちょっと違った世界が見えてきます。 僕は、新宿の高層ビル群の真下に立って、 何時間でもそんな遊びをすることができます。
何もかも忘れてしまいますよ。
投稿者:hide★ :2007年3月11日 23:19
言われてみると、本当に首都高の空がL字型でトリミングされてるように見えますね! 時々、Lの字にした指と指を組み合わせて、片目をつぶってその空間を覗き込んでるの人を 見かけましたが、構図を決めてたんですねーっ!なんか、ちょっとカッコいいと思ったので、私も今日、真似してやってみました! 青い空と白い雲と、ビルと。。。四角くトリミングされて、いつもとちょっと違って見えたかな?!
投稿者:香明 :2007年3月11日 22:56
>uenchさま
いい先生ですねーーー! そういう先生、好きですねーー! 絵のテクニックよりも何を感じて 何を見るかの方が大事ですよね。
僕が高校の時、美大受験用の予備校の講師が、 「デッサンとは、描くことではなく、見ることだ」と 言われたことが一番ショッキングで印象に残っています。 あとは、ほとんど記憶に無いくらいです。
現場でトリミングをきちんとできないということは、 その時点で何を伝えたいのか、定まっていないということですからね。
投稿者:hide★ :2007年3月 8日 10:31