素描No.003

白い紙に鉛筆をシャカシャカ、カツカツ走らせる。


何もない画面と向い合った時、いつも不安になる。「描けるのだろうか?」と。完璧でなくてもいいから、ある程度は満足のいくものでいい。 今回は、北国で見つけたサイロの脇にあった納屋の中。子供の頃、札幌市内にもこんな納屋がいっぱいあった。友達の農家の家で学校帰りに牧草に隠れて遊んだ。搾りたての牛乳を飲ませてもらった。給食の牛乳瓶の牛乳に慣れていたので、正直、濃過ぎておいしいとは思わなかった。でも、あれが本物の牛乳だったのである。子供の頃、丸まったあの牧草の奥の方へよじ上った。体中、草だらけになった。 あの丸まった牧草のことをロールベールサイレージというらしい。大きなトラクターで草を刈り取り、トラクターの後ろに牽引するロールベーラーと呼ばれる牧草を丸くするマシンで丸めて吐き出す。これが、なんと1個350kgもあるというのだから驚きだ。子供の頃、こんなところによじ登って、見つかっていたらひどく怒られたに違いない。 無心で鉛筆を走らせていると、子供の頃の情景が頭に浮かんだ。あの納屋のあの辺に隠れたり、奥の方には牧場のおにいさんが仰向けになってタバコを吹かし、煙の環を作ってくれたことを思い出した。 そこは、隠れ家的でとても居心地が良かった。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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