素描No.007

ある夏の日、北の大地の牧場へ行った。そこには、白馬が一頭、寂しそうな目をして佇んでいた。


北国の大地に興味を持ち始めたのは、2年前のちょうど今頃、渋谷東急文化村で観たアンドリュー・ワイエス展からだった。荒涼とした大地が、ワイエスの絵筆にかかるとこんなにも魅力的なものになるとは思わなかった。 テーマは身近なところにあった。それから、自分のルーツを見つめ直す旅が始まった。仕事も環境も全てが変わりつつあり、内なる衝動が必然に感じられた。北の大地には、荒野というイメージにぴったりの風景がたくさんあった。なぜ、今、荒野に惹かれるのだろうか?安定ということにすごく不安を感じるからなのかもしれない。 このままでいいのだろうか?若さが怖いもの知らずだとしたら、歳を重ねるごとに経験値によってチャレンジしなくなっていく。それは、安定という名の怠惰なのではないだろうか?僕はその言葉が頭に浮かび上がったとき、恐ろしくなった。 「もっと、飛べ!もっと、はじけろ!」もうひとりの自分がそう言っている。「そんなリスクを追わなくてもいいじゃないか?」とすぐ言い訳したくなる。結局、何かに恐れているんだね。正直言って怖い!そんな小心者の自分を奮い立たせるために荒野なんてテーマを選んだはずだ。 日本の武士道、西洋の騎士道、そういう精神性を保つためには白馬という小道具がぴったり。カタチから入る僕には小道具が必要だった。 感情の起伏が激しい僕を白馬が優しい眼差しで見ていてくれた。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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