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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

金沢で見つけたクリフトン・カーフ

金沢3大茶屋街の主計茶屋街を歩いた。「かずえまち」と読む。ひがし茶屋街から歩いて数分、浅野川を渡った川沿いにひっそりと佇んでいた。浅野川は、加賀友禅流しを今でも行っているらしい。ひがし茶屋街のように、観光客で賑わっていないけれど、その静けさがとても風情がある。この川にかかっている橋は、泉鏡花の「照葉狂言」の舞台になったところでもある。



裏道に入ると庶民向け遊郭跡が残存していた。狭い路地裏を入ると怪しい遊郭街がある。旦那衆が人目を避けてこの坂を抜け、主計町とひがし茶屋街へ通ったという。


その坂は、暗がり坂といい、階段を一歩上ろうとしたとき、その手前にギャラリーらしきものがあった。がらがらっと、引戸を開け「こんにちは〜」と入ってみた。奥の方から男性が、「いらっしゃい、今日は暇なのでゆっくりと見て行ってください」気さくに声をかけてくれた。平日だったので他にお客さんはいなかった。そこは、アメリカ人版画家が戦後日本の美しさに惚れて、生涯住みついてしまった、クリフトン・カーフのギャラリーだった。数年前に他界したカーフの自宅とアトリエをそのまま生かしてギャラリーにしたようだ。




ギャラリーオーナーの香川さんに、親切丁寧に解説つきで作品を見せていただいた。カーフの版画を見て感じたことは、四季色とりどりの美しさ、格子を墨色でくっきりと縁取りして鮮やかな色を調和していることだ。鮮やかな中に落ち着いた色調がなんとも心地良い。それと、もとカーフの住まいだったところをそのまま生かしているこの建物のこだわりがすばらしかった。やはり、良いモノを作るには、良い環境をということを実践した作家だった。自らの生活がアートのように思える。


日本人よりも日本の良さを愛してくれたアメリカ人。最期は、癌で余命4ヶ月の宣告を受け家族や親しい友人達に励まされて過ごしたという。日本人がもっと自ら自国の美しさを認識するべきであると思った。

アートギャラリーKARHU COLLECTIONは、こちら。 http://cw-karhu.jp/index.html

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美しく、輝く、輪を求めて。

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