雨の中のスウィング

今週、健康診断に行った帰り、雨だった。 傘もなく、ずぶ濡れになって、後楽園の駅まで10分程歩いた。 雨の日が嫌いな僕は、気分は最悪だった。


やっとのことで、丸ノ内線後楽園駅の軒下でひとまず雨宿り。ハンカチで濡れた体を拭きながら、今来た方向を振り返ってみれば、目の前の礫川公園には、鮮やかな八重桜が咲いていた。


通り行く人々は、傘をさして雨を避けるようにみんな下を向き、水たまりを避けるようにぴょんぴょん飛び跳ねて、駅へ急いでいる。もう、誰も桜になんか興味ないようだ。あんなに桜に熱狂的な国民なのに、ソメイヨシノが散ると、もう慌ただしく、日常へと帰っていく。八重桜は、「あれは桜ではない」とでも言っているようだ。桜が、ちょっと泣いている。


僕は、心の中で、「大丈夫だよ。ここに観客がいるじゃないか」と桜に語りかけ、雨の中へ飛び込んでいった。どうせ、もう、全身ずぶ濡れなのだから。気分は、あの「雨に唄えば」のジーン・ケリーのつもり。


スウィングして、スキップして、桜の木の下に辿り着く。そして、夢中でシャッターを切った。鼻歌まじりで、浮かれていたせいか、アップの写真は全部、ブレブレ。そんなことなんかどうでもいい。さーーーっ!と、降りしきる雨が光を拡散して、桜の色を鮮やかにしてくれる。


「もう、どうにでもなれ」と言う気持ちで、木の下から飛び出し、自ら雨に当たりにいった。つつじと緑の葉っぱが、なんとも色鮮やかだ。誰も花見なんかしていないけど、僕は天を仰ぎ、顔面に雨を受け、一人花見を満喫した。

43回の閲覧24件のコメント

美しく、輝く、輪を求めて。

  • Black Facebook Icon
  • Black Twitter Icon
  • Black Instagram Icon

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-13-8 アビターレ神宮前B-3 TEL.03-6721-1763

©VIGLOWA Inc. All right reserved.