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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

雪景色の琳派

恵庭岳の下流、白扇の滝からさらに南下すると漁川(いざりかわ)ダムがある。 漁川は、ラルマナイ川とイチャンコッペ川に挟まれている。 氷に覆われたダムの支流は、一部解けて優雅な曲線を作っていた。


最近、デザインを掘り下げていくと、日本人としてのアイデンティティーが重要であるような気がしてきた。海外ブランドを身に纏うのも良いが、日本人としてのルーツを再認識したい。僕自身、世界のブランド品には興味があるので何も懐古趣味に浸るというのではなく、現代のグローバル化社会を見据えたうえで、日本人であることを意識していきたいということかな。


そこで、琳派。19世紀のヨーロッパでは、アールヌーボーが全盛であった。日本が初めて参加したパリ万国博覧会を皮切りに、浮世絵、琳派、工芸品などを次々に出品していった。面を埋め尽くさんばかりの華美な装飾を美とされていたのに対して、大胆に空間を取り入れた日本美術の手法にヨーロッパの人々は驚いた。


アメリカの経済学者、P.F.ドラッカーは日本美術の根底にあるものは、空間を重視することで、画面における余白が大きな意味を持っているという。西洋が幾何学的、中国が代数的、日本は空間がそれぞれのパーツを区分している、というように琳派は現代のデザインに通じるものがあるのかもしれない。


そして、日本美術の特色は、概念ではなく知覚、写実ではなくデザイン、幾何ではなくトポロジー、分析ではなく統合にあるとドラッカーは言う。絵画の世界では立体感のないデザイン的という言葉が日本人のコンプレックスであったらしい。僕は、なにも幾何学的な黄金分割だけが構図を支配しているのではないということと、この先人達が築いた空間的表現をとても誇りに思う。

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16 Comments


>shiroki様

デザインの世界では、ホワイトスペースが生きていると レイアウト上、いろいろな要素が調和します。 特に新聞広告は、ホワイトスペースの美しさが 重要だと思っています。 最近では、カラーの新聞広告が多くなってきましたけど、 モノクロの新聞広告は、書に近いものがあるかもしれませんね。

投稿者:hide★ :2007年1月24日 11:57

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Nov 22, 2019

余白の美。それは、何も描かれていない所を読み取る事です。 書では、余白に書くと言われます。筆を走らせ文字を書くのではなく、 書かれていない余白こそ、感じとられるような作品にしなければ、芸術作品とはなりません。 日本人にしか備わっていない能力と言えるでしょう。 大切にしたいですね っと偉い事言いましたが、皆さんのコメントを読んで刺激になりました。

投稿者:shiroki :2007年1月24日 11:09

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>よよ様

ダムの橋の上から撮りました。

瀬戸内海といえば、坂本龍馬の海援隊いろは丸が沈没し、 漂流してたどり着いたという鞆の浦というところへ 行ったことがあります。 とても感慨深いものがありました。 北の人間は南に憧れるのですよ。

投稿者:hide★ :2007年1月20日 18:00

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Nov 22, 2019

瀬戸内海近辺に住む私には 信じられない光景です。 曲線の美しさ、色合いの冷たさに感激です。 どういうポジションに立って撮られたのか その位置の風景も気になります。

147は変わらず元気です。

投稿者:よよ :2007年1月20日 09:17

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>Rei様

マルチミックスと言えば、コンランショップの テレンス・コンランが著書の中で 「心地良いということは、スタイルに関係なく万国共通である」と いうような事を書いていました。 だから、国のスタイルで商品を集めるのではななく、 世界のいろいろな国のスタイルをミックスするのだそうです。 そんな考えた方は、日本人の得意とするところかもしれませんね。 そこに日本独特の調和を取れ入れれば。

投稿者:hide★ :2007年1月18日 02:00

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美しく、輝く、輪を求めて。

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