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中道 順詩

Junshi Nakamichi

Tranquille

僕は、旅することが好きで写真家になった。 今日までのプロセスを振り返ると、20才のとき、1970年から1年10ケ月の間、 スウェーデン/ストックホルムを皮切りにスペイン/マドリードやニューヨークでの生活で得たものは、はかりしれない。 培ったイマジネーションは、今も五感のどこかに潜んでいるんだと思う。 Tranquilleというフランス語にこめた憶いは、あの旅から今日まで蓄積された原風景への 「静寂のなかの叫び」なのかもしれない。 今回は、ゼラチン・シルバープリントにて展示いたします。

静寂の囁き。

静寂は私たちを不安にさせます。人々は常に忙しく、騒がしくしていなければ気が済まないとでも言いたげに。何かをすることに執着するあまり、間というものを排除してしまうのでしょう。その結果、行間を読むことができなくなり、対人関係の空気を読み取ることもできず、相手を傷つけてしまうことさえあります。明と暗があるように喧騒と静寂がある。朝起きて、喧騒の一日が始まり、夜になると静寂が訪れる。時には、テレビも音楽も人々の会話がなくてもいい。身体のスイッチもオフにして、誰もいない草原で目を閉じてみるといいかもしれません。きっと、風が耳元で囁き、小川のせせらぎがシンフォニーを奏で、鳥の鳴き声がリズムを刻むのです。そして、静寂はあらゆる音の複合物でもあります。Tranquilleは、フランスを起点に世界の静寂を追い求めて旅をした記録です。  ヴィグロワ 篠原英智