子供の頃、故郷の北海道には何もなく、ただだだっ広くて退屈なところだと思っていた。都会に憧れ、世界を見てみたかった。老子のタオ(道)の言葉に「マイナスは大きなプラスをはらむ」とある。

これは、帯広の風景。あてもなく車を走らせても、どこまでもどこまでも続く平で何もない風景。こんな退屈な風景が嫌いだったはずなのに、最近では妙に心に響く。
老子は言う。
突っ張って直立するものは折れやすい。
自分を曲げて譲る人は、かえって終わりまでやりとげる。
こづかれてあちこちするかに見える人は、自分なりの道を歩いている。
ぼろぼろになった古い物は、それ自体、新しくなる寸前にあるものだし、
窪んだ所は自然に水の満ちるところになるのだ。
物をほとんど持たない人は、持つ可能性に満ちているのに、
沢山に物を持った人は、ただ戸惑うばかり。
タオを身につけた人は、自我を押し付けないから、かえって目立つ存在になる。
自分は正しい正しいと主張しないから、かえって人に尊敬される。
自慢しないから、人に信頼されるし威張って見下さないから、人はその人をリーダーにしたがる。
タオを身につけた人は、争わないということだ。
どんな相手からも喧嘩をふっかけられない。
自分を曲げて譲る人は、かえって終わりまでやりとげる。
さらに老子は言う。
この古い戒めは真実だと。
こういう生き方の人が自分の人生をまっとうして、
あの静かなところへ帰るのだよ。
(タオ/老子 訳:加藤祥三)
僕は、この言葉を聞くたびに耳が痛い。でも、「あの静かなところ」とは、この風景のような自分の故郷なのかもしれない。
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