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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

気になるあいつ

後楽園のラクーアを通りかかると気になるやつがいる。


それは、メリーゴーランドの屋根の下にいる男の顔だ。夜のメリーゴーランドは美しい。これがぐるぐる回っているだけでも幸せな気分になる。いい大人がじーっと見入ってしまうのだ。 日本語に直すと回転木馬。英語だとmerry=陽気な、go=行く、round=円形の、つまり、ぐるぐる回る陽気な乗り物なのだ。 だから、見ているだけで陽気になるのかもしれない。ただなんとなく、見ているだけで何もかも忘れさせてくれる。大の大人が一人で乗ってはいけないのだろうか?すごく、そそるなあ。 今のお客さんが降りて次の番が来たら、あの入り口の階段に足をかけてしまいそうだ。木馬のポールに片手でつかまって、もう片手は外に向って手を振って満面の笑みを浮かべている自分の姿を想像した。 誰も見ていないから、いいような気がした。その時、携帯電話が鳴って我に返った。メリーゴーランドの屋根の下の男が笑った。「また次があるさっ!」と言っているようだった。いずれは、乗るような予感がする。 ああ、愛しのメリーゴーランド。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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