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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

空虚に身を委ねる

空虚。なんていい響きだ。雲一つない曇り空。一般的には嫌われる曇り空。車を飛ばして、写真を撮るぞ!意気込んで来たわりには、グレー一面の曇り空。嫌われ者の曇り空。その曇り空に嫌われ者のカラス。グレーの空にブラックのカラスが調和している。


僕は、ブラックという色が好きだ。車もブラック。ファションもブラック。靴も鞄も持ち物もオフィスもブラックが基調。文具はほとんど、ブラックに統一され、ファイリングもブラック。デザインという仕事は色が氾濫するので脇役となるものは全てブラック。大量の本はブラックで統一することはできない。ただし、本棚はブラックにすることができる。ブラックの中にビビットなカラーを差し色で使用するとこれがまた映える。 全ての色を調和する色は無彩色と言われている。白は爽やかでいいときもあるけれど、少しでも汚れが目立ってくると気分をイライラさせる。真っ白なシャツを来て気分も爽やかなときに、担々麺のスープがぴっと飛び、シャツに点なりシミになったときは、一日中いらいらする。 グレーは、時にはシックで上品であるけれど、曖昧さがいらつかせる。ブラックは、きりっと全ての色を引き締めてくれる。そいう意味でカラスよ、あなたは僕と同じ考えのダンディズムを持ち合わせている。それなのになぜ嫌われ者なのか?それはね、品行方正じゃないからだよ。 ブラックを身に纏うということは、それなりに中身も大事なんだ。君はゴミ袋をくちばしでつっついて、食べ散らかしたりするだろ?それさえしなければ、ブラックでダンディな鳥として、みんなに認められるのに。あと、その鳴き声、なんとかならないのかね?「クァ〜〜〜ッ」だなんて。気の抜けたような人を小馬鹿にでもしている鳴き方して。あれは良くないよ。どうせ、鳴くなら腹の底から背筋を伸ばして「カーーーーッ!」と鳴いてみな。きりっとした印象になるよ。 そんな空虚なことを考え、シャッターを切った。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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