素描No.001

北国の荒涼とした風景が頭から離れない。



僕は、写真だけでは飽き足らず、休日の朝から鉛筆を握りしめていた。久々に沸き起こった、描くという作業。使い慣れたステッドラーの鉛筆を削ることから始めた。写真に満足できず、じっくりとディテールを観察してみることにした。 写真家でもないのにシャッターを押せば撮れてしまう。とまでは言わないが、それに近いことが素人にもできるようになった。そんな安易な気持ちで写真を撮った気になっている自分が許せない。もっともっと突き詰めなくては。この一枚の絵を完成させるには、ドラマチックに演出する光の加減が重要だ。「今度ここを訪れる時は、日の出か夕方だ」と心に誓った。 このサイロの向こう側が東なので、朝日が昇ると建物が逆光になる。それもいいかもしれないが、まずは夕方の順行で撮影するプランを立てる。きっと、夕日に染まった茜色の空が、この朽ちかけた窓ガラスに彩りを添えるに違いない。 写真を見ながら、ひとつひとつを描き込んでいくと、崩壊が始まった最初はどこから崩れていったのだろう?などと考えてしまう。人々がここの土地に住んでいれば、少しずつ修復しているはずなのに。やはり、人のいない建物は朽ちていくものなのだろうか?建物は、まるで生き物のようだ。 あらためて、「描く」という行為は「見る」ということでもあることに気がついた。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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