にし茶屋街に較べて、ひがし茶屋街は規模が大きかった。にし茶屋街は庶民的な街なのに対して、こちらは武家屋敷が密集しているということで、それなりに上品な感じがした。江戸時代の雰囲気がそのまま残っている。木格子の並んだ街並は、整然としていて美しかった。グラフィックデザイナーの僕は、自称、水平垂直マンなので紙面上の水平垂直にはちょっとうるさい。ひがし茶屋街を歩いていると心の中で思わず、「オ〜ケ〜ィッ!」と叫んでしまった。
この水平素直マンにはたまらない木格子を、木虫籠(きむすこ)と呼ぶ。すっかり、自身をなくして元気がない日本人だけど、この時代にこれだけの美意識があったということに誇りを持ってほしい。色を抑えたシックな景観はとても大人だ。現代の日本は、看板が多く、それぞれの企業が主張して景観どころではない。自分さえよければいいという感じがしないでもない。もし、これから日本の経済がこのまま停滞するとすれば、日本人は、江戸時代の侘び寂びの文化を再認識するべきではないだろうか?成金趣味は、他のアジアの国々に譲って、「日本はそんなこと、もう卒業した」とでも言いたげに独自のペースを守ってほしい。今まで、猛スピードで駆け抜けてきたのだから。
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