陽のあたらない風景

小樽の観光スポットからしばらく歩いてみた。 オルゴール堂や北一硝子から、ちょっと離れた路地裏だ。 そこは、人通りもなくひっそりと静まりかえっている。



裏通りを歩いていて左の空き地に目をやると、そこはレンタカーショップの車置き場の空き地だった。レンタカーショップといっても、小樽ならではの古びた石造りの建物で風情を生かしたまま営業している。


ドアにレンタカーと小さく、プレートが貼り付いていたけれど、東京のように看板が大きくあるわけでもなく、のぼりも立っているわけでもない。ひっそりしていて、もしかして北海道は景気が悪くて、潰れてしまったのでは?と思うほどだ。


遠くから窓を覗くと、裸電球が煌々と光っていて、どうやら営業しているようだ。中の人々は忙しそうに電話の応対に追われている。僕は、そのレンタカー置き場のスペースを無断で借りて三脚を立て、隣の古い廃墟と化した建物を無心で撮影した。


ぼーっと、その壁を見つめていると時間が経つのもすっかり忘れ、陽が沈みかけてきた。この時間帯が写真では色味が青白く映り、ただの壁もひと味違った情景になる。

気のせいかもしれないが、じっと、ファインダーを覗いて陽が沈みかけていく瞬間を待っている間、遠くの方からニシン漁で活気を帯びた海の男達の声が、時を超えて聞こえてくる。

いつの間にか、ただの廃墟と思っていた古びた壁が、何か独特の表情を帯びてきた。時計を見ると30分近く、古壁を見つめていた。

15回の閲覧6件のコメント

美しく、輝く、輪を求めて。

  • Black Facebook Icon
  • Black Twitter Icon
  • Black Instagram Icon

〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-13-8 アビターレ神宮前B-3 TEL.03-6721-1763

©VIGLOWA Inc. All right reserved.