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執筆者の写真Hidetoshi Shinohara

旅立つ

綿毛になったタンポポを見つけた。


そろそろ、旅立つ季節がやってきた。花言葉は「真実の愛」ということだ。子供の頃、綿毛のタンポポにふ〜っと息を吹きかけ種を飛ばして遊んだ。まあ〜るく繊細で柔らかい球体はふわっと、一瞬コマ送りのように分解され飛んでいく。この瞬間がなんとも心地良かった。 子供の頃、まだ子供だった頃、子供らしい遊びをした。今と違って文明的な遊びなどなかったけど、近所の子供達と野原を飛び回り綿毛のタンポポを見つけて吹き飛ばした。 きっと、綿毛のタンポポも旅立ちたくてうずうずしていたに違いない。子供らしい子供がいたから、お陰で多くのタンポポは飛んで行けた。今でも風が吹けば飛んで行くのかもしれないけれど、子供達に後押しされて飛んで行く種は真実の愛を求めて旅に出る。 そして、今まで違った環境で新しい生活が始まる。別れもあれば出会いもある。そんな季節である。32年前のこの季節、僕も東京で新しい生活が始まった。都会の見るもの触れるもの全てが刺激的だった。この綿毛の種のように風に飛ばされて、北国の小さな町からふわふわと東京に辿り着き、根を下ろした一人である。

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美しく、輝く、輪を求めて。

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